遺言 野村克也が最後の1年に語ったこと。

作者の飯田絵美さんと野村監督のお話をラジオで聞き、お二人のまるで映画のような感動の秘話の数々に心打たれ購入しました。

野球が好き嫌い、野村監督の好き嫌いに関係なく一人の人間の生き様を、この本を通じて多くの方に知ってほしいです。

お金よりも大切なもの

ご存知の通り野村監督はセレブです。

そのセレブの方が人生の最後に悲しみに包まれていた。

「お金で買えないものもある」と、お金持ちの人はそんな言葉を口にします。

サン=テグジュペリ著「星の王子」の中で王子様は言います、「本当に大切なものは、目には見えない」と。

今の混沌とした時代の中では綺麗事にも聞こえてしまいますよね。

でもこの本を読まれた方はきっと感じるはずです。

私たち人間は、今ないものをひたすら欲する生き物だと。

そしてその欲は無尽蔵、尽きることはない。

野村監督の悲しみの影に、人間の本能を感じました。

働くこと、生きること

仕事と人生は切っても切れないものです。

それは、仕事の中で人は自身の存在感と社会的価値(評価)を得ることができるからでしょう。

華麗なる野球の世界を生き抜いた野村監督が、その野球の世界(監督業)から離れた頃から感じ出した焦燥感。

それは定年退職を迎えたサラリーマンの心で芽吹いた不安や焦りと似ているように感じました。

終活を考える世代には、大きなる参考書となるはずです。

父と子の物語

野球人、野村監督としての顔だけでなく本書では、父親、野村克也の生々しいほどの人間愛にも触れられる。

男の生き様をここまで赤裸々に曝け出した本書は、まさに遺書のタイトルにふさわしい。

人のパーソナリティを構成するものは、8つの要素と言われる。

その8つで大体その人がわかる、らしい。

参考までに8つとは、

1、明るい、暗い。

2、楽観的、悲観的。

3、同調性が高い、自分勝手。

4、共感しやすい、冷淡。

5、信頼できる、当てにならない。

6、面白い、つまらない。

7、知能が高い、低い。

8、外見が魅力的、そうではない。

この本を読めば、人は8つの要素ぐらでは、到底測れないことがわかる。

まとめ

遺書というタイトルのノンフィクション本。

この1冊で野村監督の事を、まるで親しい親戚の叔父さんのように感じることができます。

私にとっての最高の自己啓発本です。

今悩んでいることがある人。

自分の能力の向上を目指している人。

精神的に強く成長したい人。

そんな方々に読み進めて頂きたい本です。

野村監督は、数々のビジネス本を書かれていることで有名ですが、この本全317ページの至ることろに点在する監督の名言は、老若男女、年齢関係なく心に張り付く。

簡潔かつ的確、最強の人生の指南書です。