実際、そう言った企業の中には業界のトップを何年にもわたって走り続けている企業も少なくありません。
また、トップでなくとも業界に一定の地位を築き、存在感を示しています。
このような企業はどういった特徴があるのでしょうか。
そんな企業の秘密に迫ったのが本書です。
ビジョナリーカンパニーとは?
本書に出てくるビジョナリーカンパニーとは平易なイメージで永続する大手企業を指します。
本書の中では、明確な理念を持っていて柔軟に変化をし続ける企業のことです。
筆者の住む全米の大手企業と日本の企業の一部を調査し、対抗馬となったすでに消滅、あるいは大幅に規模を縮小した企業との比較を行っています。
結論を言えば、このように永続している大手企業の特徴として、理念を重視していること、カリスマ経営者に頼らないことが挙げられます。
企業理念に基づいて行動し、逆らわないスタイルで多角経営を行ったり、大きな投資を行ったりすることで企業の価値を高めてきました。
ここに勤務する社員は、理念や社是を宗教のように信じ、それに向かって仕事をしている企業が永続する傾向にあったとしています。
カリスマ経営者に頼っていない点も挙げられます。
大手企業の中には名物社長といわれるような存在の経営者が仕切っている企業がありますが、その社長が亡くなったときに企業が衰退していくことが多くあるようです。
しかし、真の意味で名経営者といわれるような人物は、預言者のようにカリスマ的な発言をするのではなく、時計のような企業の永続システムを構築する設計者がいるとしています。
創業者がいなくなっても企業が成長を止めず、さらに永続していくことを追及しているのがビジョナリーカンパニーの経営者像です。
トップに立っても慢心させない
ビジョナリーカンパニーの中には業界に不動の地位を築きトップをひた走る企業もあります。
そんな企業は絶えず後継者を育成するだけでなく、不安を作って社員に努力を促します。
例えば、仮想となるライバルを設定したり、収益が下がった分野のシェアをわざと落として業界の順位を下げるといった行為をしたりすらします。
こういったことを行い、常に成長する分野を見つけることで永続している可能性があります。
まとめ
ビジョナリーカンパニーには残念ながら、一部筆者が著した後に業績を落としてしまった企業もあります。
しかし、それは非常にまれなケースであり、多くの企業が現在も業界に大きな存在感を示しています。
安心感を得た時点で衰退がはじまることを真面目に信じ今も巨大なビジョナリーカンパニーたちは猛烈なスピードで成長をしているのです。
大手企業に入れば安心という方程式は、本書で紹介された企業には当てはまりません。
気づいたらとんでもないところを歩いていたというのが彼らの感覚といえるでしょう。